防音について、よくいただくご質問 「アビテックスとはどう違うの?」

 当設計室の設計した音楽レッスン室の一例
・・・むだがなく使いやすい配置と高い天井(美しい音色と良好な音の響き)

 

 

 私どもの設計室に防音についてご相談に来られた方から、当設計室で作る防音室と、ヤマハのアビテックス(フリータイプ)とは、どう違うのかというご質問をよくいただきます。 ここではそれについて、少しご説明してみたいと思います。

 

全体構成と遮音性能

 

 私どもの作る防音室も、アビテックスも、防音に対する基本的な考え方や、壁・床・天井などの部材構成は、ほぼ同じです。 もちろん細部においては、それぞれに特徴や工夫があるのですが、遮音性能は同等で、一般的な音楽練習室として必要かつ十分な性能を有していると考えています。

 

室内の形状とデザイン

 

 違うのは、部屋の形状の"自由度"でしょうか。特に天井の高さや傾斜などについて、設計や工事上の自由度が違うようです。例えばアビテックスは天井の高さについて3種類の中から選ぶことになりますが、私たちの作る音楽ルームは、まったく自由に天井高を設定できます。そして上の掲載している図のように、傾斜天井や曲面天井も可能です。

 

音場調整(音色や残響時間など)

 

 部屋の形状は、見た目の良さや部屋としてのゆったり感だけでなく、音の響き具合にも大きく影響します。部屋の音や響きをどう創っていくか(音場調整)という点で、アビテックスとはその自由度や手法に、違いがあるようです。

 

家全体としての設計プロセス

 

 私たちは設計事務所ですので、防音室のある家の設計においては、まず防音室を家の中のどこに設けるのが最も良いかという、全体の基本的なプランニングから設計に入ります。

 

 

 ここで念のために申し上げておきたいのですが、私たちは防音屋ではありません。設計事務所です。ですから家全体の設計が本職なんです。でもわが国では防音室(特に音楽をする部屋)の設計がきちんとできる設計士や住宅会社がたいへん少ないので、私たちの特色である“音の設計”ということがクローズアップされて、なんとなく防音の専門屋さんみたいに思われています。でも本当は家全体を設計する設計事務所なので、防音室のない家もたくさん手がけています。(ただ最近は、防音室のある住まいの依頼が多いことも事実なんですけど。)

 

 ですからまず家全体において、どこに防音室を設けるのが最適なのかというところから、設計に入るわけです。そして構造的なことやデザイン的なこと、機能性、断熱などの住環境のこと、そして予算的なことなど、家全体をトータルに考えて、その中の一つの要素(大切な要素ですが)として防音室を考えていきます。そのような設計プロセスが、単なる防音屋さんとは違うわけです。

 

コスト

 

 さて防音室の工事費のこと。これははっきり言って、アビテックストはかなり違います。もちろん当設計室の方がロープライスです。最初に申し上げましたように、基本的なコンセプトや部材構成はよく似ていると思うので、アビテックスがなぜあのように高額なのか、正直なところ私にはよくわかりません。多分、いろいろ違うことがあるのでしょう。

 

 

 ざっとそんなところなのですが、ただ私はヤマハのアビテックスを、性能的には高く評価しています。 そこいらの知識も経験も浅い設計士や工務店がつくる防音室より格段に良い防音性能を持っていることは間違いありません。ですので、私たちは、それと同等かそれ以上に良い性能を目指し、デザイン的にも美しく、しかも一般の方でも手に入りやすい価格でご提供することを常に念頭において、防音室の設計と施工を行っています。