防音室づくりに失敗しないための必須6項目
防音室(楽器練習室やピアノレッスン室)の設計や工事を、建築士や施工会社(ハウスメーカーや工務店)にさせたのに、十分な防音効果を得ることができず落胆されたり、ご近所からの苦情に困っておられるかたが、たくさんおられます。
そのような失敗は、なんとしてでも避けたいことです。防音室は一度造ってしまうと、簡単造り直せるものではありません。ですから計画当初から、しっかりとした筋道を立て、それに沿って適確なプロセスを踏んでいくことが、何よりも大切です。
そのための6項目を、ここに挙げます。
(1)しっかりとした計画(基本構想)を建てる
どのような目的で、何の音を、どれくらい防音したいのか。そして費用はどれくらいで抑えたいのか。まずそれを明確にすることが大切です。たとえば「ご近所からクレームがつかないように、グランドピアノの音を、外部では殆ど聞こえないくらいに(隣家の内部では全くきこえないように)したい。予算は200万円以内としたい。」というような感じです。
つまり、何をしたいのかをはっきりすることです。これがいいかげんですと、設計者も施工者も具体的にどのようにしたらよいのか立案ができません。しっかりした構想を、施主(建築主)、設計者、施工者が共有して、その実現に取り組むことが不可欠です。
(2)建物全体で考える
防音室だけのことを考えるのではなく、建物全体の間取りにおける防音室の配置、建物全体としての構造計画や立体構成、さらには近隣住居との関係などを、総合的に検討しながら設計を進めて行くことが重要です。それによって、効果的な防音工事を、無駄のない予算で行うことができます。
(3)中途半端なことをしない
防音室をつくるためには、中途半端なことは決してしないこと。「まあこれくらいしておけば、そこそこの防音性能になるだろう」という甘い考えは、たいへん危険です。
(4)インテリアデザインも大切にする
音楽を楽しむには、それにふさわしい雰囲気の部屋でありたいものです。音さえ漏れなければいいというものではないと思います。箱の中に入って演奏するような息苦しい部屋ではなく、インテリアデザインを重視した楽しい部屋にすることが、本当の“音楽室作り”です。
(5)すこしでもローコストに
防音業者から見積もりを取ったところ、あまりの高額さに驚いた方もおられるのではないでしょうか。(あまりにも安い業者は、信用できないのですが。)たしかに(3)で述べたように中途半端なことをしてはいけませんが、それでも防音性能を維持しつつコストを抑える方法はいろいろあります。
(6)全体の統括
以上のことをきちんと遂行するために、建物本体工事と防音工事の両方について知悉している者が、設計や工事の全体を統括する必要があります。また、音楽や楽器についても知識や経験を有している者が望ましいことは言うまでもありません。
以上の6項目を心に留めて、防音室づくりに取り組んでください。そうすれば、冒頭に書きましたような失敗を避け、予算を有効に使って、満足のできる音楽練習室やピアノレッスン室を必ず実現することができます。