重量・・・防音室づくりにおいて絶対に注意してほしいこと

 しっかりした性能の防音室を作るためには、床・壁・天井を二重構造にするのが常識なのですが、その設計と施工をするにあたって、絶対に注意してほしいことがあります。それは、防音室の重量を考慮するということです。

 

 一般には建物本体の床・壁・天井のの内側に、数センチの空気層を介して独立した防音床・壁・天井を施工することによって、二重構造とします。つまり部屋の中にもう一つ部屋を作る感じになるので、「ルームインルーム」と言ったりします。そして、これによって、ほぼ部屋一つ分の重量が建物に加わることになるのです。

 

 これがどれくらいの重さかということを計算しますと、6畳の大きさの部屋にDR35等級の遮音性能の防音工事を行い、その天井高が2.4mとしますと、重量は約1.5トンになります。これにグランドピアノを置いたり、机や本棚を置いたり、また人間の重さなども加えますと、合計は約2トン(2000kg)になります。さて6畳の部屋というのは床面積は約10uです。したがって1uあたり200kgの重さが加わるわけです。

 

 ところで建築基準法というものがあって、建物を作るときは、少なくともこれだけの荷重に耐えるように設計と施工を行いなさい、という決まりがあります。それは住宅の場合は1uあたり180kgなのです。

 

 建物を設計するときは、この建築基準法に則って行いますが、良心的な設計事務所や工務店が家づくりを行う場合は、ある程度の余力をみて安全性の高い建物をつくります。しかし世間の実情はというと、少しでも建設費を抑えるために(つまり利益を得るために)、この基準ぎりぎりで建てられている建物も少なくありません。ということは、1uあたり180kgの荷重しか見込んでいない建物も多いということです。そこに防音室を作ってピアノなどを置くと、1uあたり200kgの重量が乗るわけですから、基準値をオーバーしてしまいます! ですから防音室を作るときは、建物本体が、その重量に耐えるような設計になっているかを確かめることが必須で、もしそうでない場合は必ず補強対策をしなければなりません。

 

 ところが、知って知らずか、このことを考慮することなく防音室を作る業者が多いのが現状です。私がある工務店の人から聞いた話なのですが、防音室を持つ木造住宅を建てる依頼を受け、施主さんに紹介された防音業者と工事上の打ち合わせ行おうとしたところ、その業者が「私どもは工務店さんが建てた建物の中に、あとから防音室をつくるだけですから」と詳しい打ち合わせを行なってくれなかったということです。まったく言語道断と言わざるを得ません。防音工事をするものとして、その業務を全うしようとするならば、設計の初期から参加して、設計事務所や工務店と詳しい情報交換や打ち合わせを行って進めていくことが、絶対に必要なことなのです。

 

 このようにして荷重超過の建物を作ってしまいますと、結果として建築基準法に違反することになりますし、へたをすると工事後グランドピアノを入れたり、数人の人が入ったり、たくさんの本や楽譜を置いたりしますと、床が抜ける(そこまで行かなくても家が微妙に変形したり、地震に対して脆弱になる)という事態を起こしかねないのです。

 

 ですので、皆さんが防音室を作られる場合は、新築であっても既存のリフォームであっても、また木造であっても鉄筋コンクリート造であっても、必ず設計段階で防音業者に荷重計算をさせ、それを設計事務所や工務店またはハウスメーカーに提示して検討してもらい、強度が不足する心配があるときは建物本体の構造を強化してもらうようにしてください。

 

 これ、絶対に重要なことです!!